ダンケルクのストーリーの本質は、戦闘についてではなく“撤退”の物語ということがユニークでした。(本作で敵兵が一切写らない理由は)そこにいた人たちの主観的な経験になるべく寄り添うためです。本作で私は、戦争アクション映画としてよりもサスペンススリラーとしてストーリーを語ろうとしました。見えない敵にジリジリ寄られてくるサスペンスこそ、その場にいた人たちを描く忠実なやり方だと思いました
まず最初に言っておきたいことは、この映画は「戦争映画ではない」ということ。
いや、戦争を題材にしているから戦争の映画なんだけど、これまでにあったいわゆる戦争映画を想定して観に行くと「期待外れ」という結果になってしまう。
例えるなら「ラピュタ」「トトロ」を観たあとに同じジブリ映画だーと思ってそのテンションで「火垂るの墓」を観に行くような感じ?違うか?
過去の戦争映画と決定的に違うのは「ヒーロー」がいないということ。
いちおう「主人公」”らしき”人はいます。んが、この男が何歳なのか、家族はいるのか、なぜ戦場にいるのか、強いのか弱いのか、生い立ち等には一切触れられない。要はこの主人公らしき人物は戦争に関わったその他大勢のひとりであり、この映画は「個」ではなく「群」のものなのであります。主人公は「退却を余儀なくされた兵士すべて」なのだ。
ダンケルクがつまらない映画になってしまう理由のひとつとして、予告編。予告編では「それでも諦めない」「生き延びてやる」「最大の救出作戦」といった言葉が使われていて、それは決して間違いではないが、ここだけ見るとなんかワクワク感が出ちゃうよね。でも実際の映画は「ドキドキ」はあっても「ワクワク」は皆無。なぜならば「物語」がないから。誰かを守るため・家族のため・国家のために、ではなく目的は唯一つ、「家に帰るため」。映画の進行はこの一点のみといっても過言ではないだろう。
結局、この映画の感想は
スタッフロールが流れ始めて映画館を出た直後までの感想は「うーーーーーーーん」と首をひねるばかり。
でも、他の人の批評を読んだり、ダンケルク大撤退・ダイナモ作戦について調べたり、再度予告編を観たりしていくうちに映画館で味わった映像や音の興奮が蘇り、いまでは「もう一度映画館で観たい!」という気持ちになっている。やっぱノーランは最高だと。
いろんなレビューのなかで出てくるが、ダンケルクは「体感」する映画だったのだ。
これを踏まえて映画館に足を運べば、これまでに無かった映像体験を存分に楽しむことができるだろう。
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